帰るべき場所
2 min readOct 17, 2019
新幹線を降りると、見慣れているはずの異物に対面することになる。それは例えば「山手線」という名前だったり、東京駅の人混みだったりする。
帰るべきではない場所に帰ってきた、戻ってくるべきではない場所に戻ってきた、そんな気持ちになる。出張なり旅行なりから “帰る” たびにそう思う。
自分の居場所なんてないから東京に居るのに、ここが帰るべき場所ではないと感じる。
結局、どこに向かって歩いているのかまたわからなくなってしまった。怒りも、悲しみも、嬉しさも楽しさも、どこかに行ってしまった。
過ぎ去った台風は秋を運んできたけど、僕の元には気温くらいしか届いていない。
生きているのか死んでいるのか、だんだんわからなくなってくる。幸せってやつを、探していたはずなのに。
花よ花よ、咲き乱れて。
出張に行くたびに、新幹線に乗るたびに、日常と非日常がごっちゃになって、世界を受け入れられなくなって涙が出る。
どこかに忘れ物をしている気がする。何を忘れているのか、もうわからない。戻りたいわけでもない。
気づかないふりをして、忘れたふりをして、なかったことにして、だましだまし今日を生きていく。
今日が、今日も、残念ながら続いていく。