帰るべき場所

515hikaru
2 min readOct 17, 2019

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新幹線を降りると、見慣れているはずの異物に対面することになる。それは例えば「山手線」という名前だったり、東京駅の人混みだったりする。

帰るべきではない場所に帰ってきた、戻ってくるべきではない場所に戻ってきた、そんな気持ちになる。出張なり旅行なりから “帰る” たびにそう思う。

自分の居場所なんてないから東京に居るのに、ここが帰るべき場所ではないと感じる。

結局、どこに向かって歩いているのかまたわからなくなってしまった。怒りも、悲しみも、嬉しさも楽しさも、どこかに行ってしまった。

過ぎ去った台風は秋を運んできたけど、僕の元には気温くらいしか届いていない。

生きているのか死んでいるのか、だんだんわからなくなってくる。幸せってやつを、探していたはずなのに。

花よ花よ、咲き乱れて。

出張に行くたびに、新幹線に乗るたびに、日常と非日常がごっちゃになって、世界を受け入れられなくなって涙が出る。

どこかに忘れ物をしている気がする。何を忘れているのか、もうわからない。戻りたいわけでもない。

気づかないふりをして、忘れたふりをして、なかったことにして、だましだまし今日を生きていく。

今日が、今日も、残念ながら続いていく。

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