技術記事をなんで書いていたんだろう

515hikaru
4 min readFeb 15, 2020

これは特に意味のない、長い独り言だ。

自分がプログラミングを始めた頃から考えると、検索エンジンで物事を調べるのは難しくなったなと感じる。もちろん今でも毎日何かを調べているのだけれど、「上のほうにあるサイト」を読めば解決するわけではない、ということが日々増えている気がする。

PV数を稼ぐために、運営は収益化のために検索エンジンへの最適化(SEO対策)をする。僕のブログ(https://blog.515hikaru.net/)もそうだけど、Googleからの流入はやはり圧倒的に多い。SNSからの流入、バズった時のSmartNewsなどのメディアからの流入も一時的な数としてはすごいけど、ほとんど継続にはつながらない。コンスタントにPV数を稼ごうとしたらGoogleが一番だ。

そんなわけでこぞってSEO対策がなされた結果、記事の内容だったり、そのサイトの内容だったりよりも、SEO対策が十分になされているサイト、もしくは広告を出稿しているサイトがトップに表示されやすくなっている、というのがよくある見解。

じゃあ僕がプログラミングを始めた頃、それこそ5年前とかってどうだったか考えると、プログラミングスクールのブログとかはなかったし、英語のQAサイトを機械翻訳しただけのサイトもなかった。僕が読んでいたのはQiitaか個人ブログ(はてなブログが多かったかもしれない)がほとんどだったように思う。たまに企業技術ブログ、ごくまれに個人サイトがあった。

そんな時代に僕も技術記事(らしきもの)を書いていた。これらはGoogle Search Console で見る限り、今でもたまには読まれているようだ。Vim の設定の仕方とか、LaTeX についてとか、Linux でハマったこととか。もうわたしも利用していないような内容だけれど、たしかにわたしは書いていた。

こうした記事をありがたがるのは、未来の自分かもしれないし、未来の自分ではない誰かかもしれない。そう思って、書いていた。ところがどうだろう、いざ何年も時を経てみると「そもそももう興味がない」対象だったりする。僕は何年もRubyを書いていないし、何年もLaTeXのプリアンブルをいじっていない。Vim は使ってこそいるけど様相は様変わりしていて、僕の書いた情報は僕には役に立たない。

一番の想定読者だった未来の自分にとって全く需要のない記事を量産していたことに、時間が経って気づいた。

最初のほうに述べたように、今の時代、プログラミング初心者のためにものを書くことに強烈なインセンティブが存在する。なのでときには批判を受け炎上に近いことが起こりながらも技術記事が大量に蔓延する自体になった。

Google検索が難しくなったことと関係があるのか知らないが、技術記事にお金を払うことがかえって当たり前になりつつあるような気もする。技術書典など、技術同人誌を書くムーブメントもあるし、note.comやBoothのような場所では自分が書いたものを自分の納得いく値付けで販売できる。商業出版でも技術書出版のラムダノートさんとかが面白い書籍を出版している。最近わたしは翔泳社の本をよく買う。

だけど、自分がそこに何か一筆でも貢献したいとか、もう思えなくなってきた。

まず僕にインセンティブがない。良くも悪くももはや僕はプロになってしまった。5年くらいプログラミングをしていて、うち3年は仕事で書いているのだ。年数だけではないとは思っているのだけど、もう僕には初心者の気持ちはわからない。初心者、初学者の需要を満たせる記事を書ける気がしないし、そんな努力をする気もない。そんなことをするより自分が普通にプロとしてコードを書いていたほうが儲かる。

自己満足のためなら、書きたいことを書きたいように書いて、そのままネットの海に埋もれさせておけばいい。下手に目立つとイチャモンつけられるし。お金も取らず、特にバズりもせず、そのままそこにあるだけなのがちょうどいい。

言い訳である。僕は毎日(その総体は誰にもわからんけど)エンジニアコミュニティから何かを得ているわけで、そのコミュニティに還元しない姿勢はとても誉められたものではない。自覚している。Take しているだけでなく、何でも良いから Give すべきであるというのは正論だ。

でもじゃあ書けるかって言うと書けないんだよな。例えば自分が詰まったことを解決する方法を記事に起こしてみると、公式ドキュメントのこの節読めばわかる、README読めばわかる、このIssueに対策書いてあった、Discordで同じこと質問してる人いたよ、それで説明つく。僕がわざわざ文章を書いて説明するまでもなく、URLを羅列すれば十分じゃんって思う。

むしろなぜ昔の自分は記事を書いていたんだろう、不思議でならない。

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自分語り専用ブログをやっていく。